妻が妊娠して間もないころ、妊娠や出産、赤ちゃんについてネットでいろいろな記事や情報を収集いた中で、「産婦人科(やレディースクリニック)の待合室で男性が座ることへの批判」に関する記事を見つけました。
今回はこのことに関して、あれこれと考えたことや僕が実践していることを紹介したいと思います。
ちなみに僕の場合、妊娠初期の何回かを除いてほとんど付き添っていました。
それではまず僕の考えですが、
「産婦人科の待合室で男性が座ることへの批判」という言い方は、男女差別だと思います。
この場合、揚げ足をとるつもりではありませんが、適切に言い換えると、
「産婦人科の待合室で健康な付き添い人が座ることへの批判」だと思います。
おそらく、この批判をした方は、混雑して満席状態の産婦人科の待合室で、夫婦で来院し席に座っている男性を見て、「混雑状態で立っている妊婦がいる状況で、付き添いの男性が席に座っているのは思いやりもマナーもない」と感じたのではないでしょうか。
ごもっともです、が批判する場合はいろいろと配慮や注意が必要なのが今の日本です。
批判対象は付き添いの男性ではなく、付き添いの人全て、さらには、座って待つべき状態ではない患者全て(妊婦および立って待つのがつらい状態の体調や症状の人以外)に向けられるべきです。
このテーマに直面して僕にはこんな疑問や考え浮かびました。
「患者だったら男性も産婦人科で座ってもいいのか。」
「そもそも産婦人科に男性患者がくることはあるのか。」
「妊婦や患者の付き添いは、必ずしも男性とは限らないのではないか。」
「立って待つことに支障がない症状の女性患者はどうなのか。」
「性別に関係なく立って待てる状態の人が席を譲るべきでは。」
「なぜ患者側がこの問題に悩まされなければいけないの。病院がなんとかするべきでは。」
「席がなくて困っている人はその意思表示をすることが大事では。」
それではこれらの疑問や考えに少し踏み込んでみたいと思います。
産婦人科に男性が患者としてくる可能性
まず、「患者だったら男性でも席を利用していいのか。」について考える上で、産婦人科に男性が患者としてくることはあるのか、を考える必要があります。
結論からいうとあります。
たとえば「不妊治療」です。
不妊治療で産婦人科に訪れた夫婦を、はたして「患者」と呼んでいいかどうか、という別の議論が発生してしまいますが、この場合、男性も診てもらう側として待合室を使うことになります。
「不妊治療ってことは、不妊で悩んでいること以外は健康で、立って待つこともできますよね?」
「はい、できます、がそれは男性も女性も同じではないでしょうか。」
付き添いが男性ではない可能性
妊婦や(妊婦以外の)女性患者の付き添いが必ずしも男性だとは限りません。母親が付き添う場合もあれば女性の友人が付き添う場合もあるはずです。
さらに、昨今の、パートナーや恋愛対象の性別に関する繊細な事情を考慮すれば、女性のパートナーが女性、ということもありえます。
付き添いの母親、付き添いの友人女性、付き添いの同性パートナー、いずれも男性ではないですが、「ただの付き添い」ということになり、席を必要としている方に席を譲ることにおいて、なんら問題はないはずです。
席を譲っても問題ない症状と状態の女性患者
次の例は、男性患者でもなければ、付き添い(の女性)でもない、女性患者の場合です。
ただし、この女性患者は、座って待たなければいけない症状や体調ではなかったとします。
たとえば、この女性患者の来院理由は、「生理不順の相談」や「オリモノに関する悩み」かもしれません。発熱や痛みが伴う症状はなく、全般的な体調そのものは良好かもしれません。
この女性は、妊婦に席を譲らなくてもいいのでしょうか。
男女問わず立って待てる状態にある人が譲るべき
つまり、席を譲るべき人に男性か女性かは関係なく、座って待っていたほうがいいとされる人以外は誰でも席を譲るべきなのです。
「妊婦に付き添っているだけの夫。」確かに、こんな男性は見つけやすいし、目立つし、今回の批判の対象になりやすいです。
でも、このわかりやすい男性に隠れて、実は譲ってもいいと思われる、似たような状況の女性が他にもいるかもしれないことを忘れてはいけないと思います。
病院がなんとかするべき
そもそもこの問題は病院側が積極的に解決策を模索すべきだと思います。
だって「あなたの病院は混雑時に座るべき人が座れない状態、または席が十分ではないですよ。病院経営と患者のことを考えれば、この問題は病院側で解決、対策したほうが病院にとっても患者にとってもいいのでは。 」ってことですから。
「なんとかしろ!」とは、単純に席を増やせ、とうわけではありません。もちろんそれができれば一番早いのですが。
席が増やせないのであれば、予約制やメール・アプリ通知制で待合室で待つ時間を少なくして待合室にいる人の数を抑制したり、混雑時にスタッフが声かけをしたり、受付時や張り紙で注意喚起したり、と工夫や配慮で患者(と付き添い人)が不便をなるべく感じないようにすることはいくらでも可能です。
この問題に限らず、不親切、不案内な病院は少なくないので、ぜひ改善してほしいものです。
席を譲ってほしい人はその意思表示をするべき
訳あって席を譲ってほしいのに「すみません、どなたか席を譲ってくれませんか。」と言えない人と、席を譲りたいけど「どうぞ座ってください。」や「座りますか。」と声をかけられない人同士の不毛の戦い。
これはもう日本の国民性でしょう。国や文化が違えば、そもそもこの問題は発生していません。
国が違えば、「譲ってほしい」という主張を遠慮なくさらっと言うだろうし、そんな国ではお願いするまでもなく譲ってもらえることも多々あるはずです。
難しいことかもしれませんが、もっと意思表示をするべきです。
ここで言う「意思表示」とは、待合室で座ってる人に(席を譲ってくれませんかと)声をかけることだけではありません。
「その病院の医療スタッフに相談してみる」のも意思表示の1つです。「席が空いてないんですけど、どこかに座らせてくれませんか。」と尋ねてみてはどうでしょう。
その人が良い人、その病院が(職員教育が)良い病院であれば、きっとなんらかの対応してくれるはずです。たとえば、中待ち合いの席を案内してくれたり、オフィスチェアやパイプ椅子などを用意してくれたり、席を譲ってくれる方を探してくれたり、してくれるかもしれません。
もし、「席が空くまで待ってもらうしかないです。」と対応された場合は、(そんな病院はできればもう2度と行かないほうがいいのですが)席が空くまで立ったまま待つか、勇気をもって誰かに声をかけるか、自分で決断しなければいけません。
仮にあなたが妊婦だとして、
その勇気、ありませんか。
あなたは赤ちゃんと自分の体を第一に考えなければいけません。
赤ちゃんと自分の体を守るために
その勇気、ありませんか。
座りたいなら、勇気と覚悟をもって意思表示すべきだと僕は思います。
僕が実践していること。
妊娠中の妻の付き添いで産婦人科に何度も足を運んでいる僕が待合室で実践していることは次のことです。
妻と僕が行く病院はそんなに混んでいないので譲るような状況はほとんどないのですが、
満席時に誰かがきたら黙って席を立ちます。「どうぞ。」や「座りますか。」などの声かけは特にしません。声をかけられて譲ってもらうのも、もしかしたら嫌かもしれませんし。(難しいですね。)
もちろん満席時以外は席を譲りません。空いている席が1つでもあれば譲りません。譲る必要がないですし。
悩ましいのが、完全に空いている席はないけれど、誰かの荷物がおいてある席がある場合です。この場合も僕は譲りません。座席は人が座るためのものです。マナーが悪い人の荷物のために、わざわざ席を譲るほどには僕の性格はできていないようです。
ちょっとここで、席に座る前の話になりますが、僕は待合室の中でもなるべく後方、待合室全体が見渡せる場所に妻と座るようにしています。満席かどうかを把握しやすいからです。
おまけ
田舎あるある。
僕は今、田舎(最寄り駅は車で10分、電車は1時間に1本程度、コンビニやスーパーは歩いて数分くらい)に住んでいて、近くの病院を利用していますが、以前都会(東京)に住んでいたこともあり、田舎と都会で違いを感じているのでいくつか紹介したいと思います。
ということで
田舎は都会と比べて・・・
・荷物で席を専有する人が多い。(そして混んできてもけっこう粘る。)
・(混雑や人の近さに不慣れなため)席が空いていても人の隣に座らない人が意外といる。(2席3席空いてから1席離れて座る。)
・医療スタッフが不親切だと感じることが多い。
その他あるある
・乳児、幼児を連れている人は(乳児をあやしたり、幼児が動き回るため)座りたくないときもある。