妊娠

セカンドオピニオンでわかった妊娠初期の赤ちゃんの心拍停止と稽留流産に対する医師の考えの違い。

2018年7月下旬、妊娠9週目、3回目の通院で僕たちの赤ちゃんの心拍が確認できないと言われました。(そのときの記事は「妊娠9週目で赤ちゃんの心拍が確認できなくなった。」をご覧ください。)

心拍停止(の可能性)を知ってから2日後の金曜、妻と僕はセカンドオピニオンとして初めてクリニックCに行ってみました。

セカンドオピニオンの目的

セカンドオピニオンの目的は(おなかの赤ちゃんの)「死亡の確認」です。

生存の可能性を探るための「希望の確認」ではありません。

もちろん生存している可能性もあると思いますが、ネットで調べる限り、期待できるほどの確率ではないことが事前にわかっていました。だからこその「死亡の確認」です。

ではなぜ「死亡の確認」をしたいと思ったのかというと、

「1つの病院の設備、1人の医師の見解、で1つの命の終わりを決めていいのか?いや決めたくない。」と思ったからです。

クリニックCでの診断結果

初めて訪れるクリニックCの受付にて、僕たちは現在の状況を説明し、セカンドオピニオンとしてここに来た旨を伝えました。

待合室で少し待ったあと、妻の順番がやってきました。どうやら最初から僕も同席していいようです。

C医師
C医師
セカンドオピニオンだって?
クリニックBで心拍が確認できなかったんだよね?
これから診察するけど、結果は同じかもしれないよ。
カイ
カイ
はい、僕たちがしたいのは死亡の確認です。
C医師
C医師
うん、わかった。

診察のため、僕は一度退室です。

初めて見て話したクリニックCの先生の印象は、はっきりとした声の大きさと主張力のある口調で好印象でした。体育会系の雰囲気があります。

ちなみにいつも通っているクリニックBの先生はもごもごと聞き取るのが難しい話し方ですが、おっとりと冷静で草食系な感じです。

・・・

しらばらくして僕が中に呼ばれました。診察が終わったようです。

結果はクリニックBと同じ、心拍停止。繋留流産です。

そうか、でもこれで前に進める。

クリニックCの先生の考え

先生は、妻の現在の状況について詳しく説明してくれ、先生の見解も話してくれました。

これが驚愕でした。

(以下の会話風の文章は当時のやりとりの再現です。話の本質は合っていますが、会話の一字一句は記憶から作成しているので正確性に欠けます。)

C医師
C医師
クリニックBではなんて言われました?
妻
心拍が確認できない、ということと、1週間後にまた来てくるように言われました。
C医師
C医師
それがわかんないだよなぁ。
なんで1週間も待つのかなぁ。
僕だったらすぐに、次の日にでも手術するけどなぁ。
まぁ、医者によって考えは違うからその先生にも考えがあるんだろうけど。
流産の手術についての話はなかった?
妻
はい、何も言われてないです。
C医師
C医師
そうかぁ、1週間待って何するんだろうね?
妻
すぐにでも手術したほうがいいんですか?
C医師
C医師
僕は、僕の患者にはすぐ手術するように勧めるよ。
だっていつ痛みを伴う大量出血で自然流産するかわからないんだよ。そんな状態で待つなんてことはまずしないね。

ここで次のやりとりをわかりやすくするために、このとき僕たちがクリニックCに訪れた曜日と時間帯を明記しておきます。金曜の午後です。(ちなみにクリニックCは土日が休診日です。)

C医師
C医師
こういう状態ってのは普通に起こりえるから、それを想定してなるべくすぐに対応できるように、僕はそういう患者に午後や休み前に来るようには言わない。
休み前以外の午前中であれば、その日の午後とか翌日に手術できるからね。
そうじゃないと責任とれないから。

僕はこの発言がかなり引っかかりました。

これってもしものときの責任回避を優先したいってだけでは?

その方針と考え、理解はできますけど、共感はできません。医師と病院がいろいろな状況を想定して低リスクの受け入れ態勢をするのはいいですけど、患者側だって曜日や時間を選べない緊急事態はあるわけです。にもかかわらず、そういうのは勘弁、って姿勢を前に出されると、「それってどうなの?」って思ってします。

ぶっちゃけ、通っている病院の診療時間外に緊急事態が起こってその病院と連絡がとれないときは、他の(診療している)病院に連絡するか、救急車を呼びますよこっちだって。

・・・と引っかかったことについて述べてきましたが、この先生の考えは(どうにもならない緊急事態を除けば)患者の利益にもなっていることは確かなわけで、逆にこの病院にならかなり安心して任せらるのでは、とも思いました。

同じ診断に対する医師の見解の違い

「死亡確認」のためのセカンドオピニオンで、診断はいっしょだったのに、まさかその後の対応や見解が医師によってここまで違うとは思いませんでした。

もちろんたまたま対照的な2人に出会っただけかもしれません。

実は、僕たち夫婦は、妊娠初期の赤ちゃんの心拍が確認できない状況について事前にネットで調べ、医師の判断が異なる可能性についてすでに理解していました。

自然に排出されるのを待つか、手術で取り除くか、の選択です。

どちらもそれなりのメリットとリスクがあるようなので医師の見解が割れるのだと思います。

これをふまえてクリニックCの先生に質問しました。

カイ
カイ
妻が先生の患者だったとして、僕たちがこの状況で、手術ではなく赤ちゃんが自然に排出されるの待ちたいからそうさせてくれ、とお願いしたらどうしますか?
C医師
C医師
いい質問だね。
そのときはもちろんよく相談と説明をした上で、好きなようにさせるよ。
ただし、責任はとれないよ。

おっ、一応どうしても、という場合はさすがにごり押しはしないようだ。

でもまた責任の話か。

そんな責任、責任って言ったって、手術を選択しても手術のリスク説明の同意書にサインさせるんでしょ?って思ってしまった。

その後

クリニックCを出て車に戻り夫婦で相談。

リスク回避の意識が少し溢れすぎている感じはするがC先生の印象は悪くない、という点では夫婦ともに一致しました。

妻
手術、したほうがいいよね?
カイ
カイ
そうだね。少しでも早いほうが次の妊娠も早くなるし、いいかもね。

ということでお世話になっているクリニックBには申し訳ないがクリニックCで手術してもらおう、ということになり、車から降りて再びクリニックCの受付へ。

受付で説明すると、すぐに診察室に通してくれた。

妻
ここでこのまま手術をお願いできますか?週明けでもかまわないので。
C医師
C医師
ちょっとそれはできないなぁ。
うちではこのタイミングでは引き受けられない。
直接のつながりはないけどクリニックBとの関係もあるし。
クリニックBに相談したほうがいいよ。

えっ?なんで?と思ったけど、しかたない。

特にこれ以上の追求もお願いもせず、病院をあとにしました。

セカンドオピニオンってなんなんだろう?

セカンドオピニオンは医師の立場だと反対の意見や自分の見解が言いやすい?

好きに言うけどうちでは受け入れませんよ、って何?

その後のその後

すでに流産の手術に対する気持ちを固めていた僕たち夫婦は、クリニックCをあとにしたその足でいつものクリニックBに向かいました。

クリニックBではセカンドオピニオンの話は一切せずに、

「心配で1週間も待てなくて、ダメならダメで早く次に進みたいのできました。」と伝えました。

もちろん再度、心拍の確認をしましたが反応はありません。

手術したい旨を伝え、最短の日で流産手術の手続きをしました。